鈴木盛夫
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 「いっぷく」は、鈴木盛夫を支えるボランティアや、ゆかりのある人々が綴るエッセイのコーナーです。できるだけ、杉並を題材とした事柄になるようお願いしています。
 なお、このコーナーでの記述は、それぞれの筆者の考えによるものであり、鈴木盛夫の主張ではありませんので、あしからずご了承ください。

第1回 区役所でのお土産
島津 顕曜

 雑誌の編集記者をやっている。
聞こえはいいが、弱小出版社なので、なんでも自分でやるしかない。
大きな会社なら、撮影はカメラマン、原稿はライターに、と作業を振って、まさに編集だけやっていれば良いのだが、残念ながら、外部発注するお金が乏しい。
結局、早朝から深夜までバタバタして、原稿も遅れ気味で、DTP担当者からは冷たい対応しか受けたことがない。
 そんな調子の生活だから、ストレスも沢山と言いたいところだが、この商売の良いところは、取材で外出できることにある。
一歩編集部を出てしまえば、飛んでいった鳥で、目的地に到着すると、キョロキョロしながら、あれこれ面白いものをみつけようとする。
 どこの街でも、市役所や町役場を訪れるようにしている。
県庁所在地ならば、県庁にも出向く。
小さな業界誌の記者は、行政関係に電話取材をしようにも、雑誌名を名乗ったら「そんな雑誌は知らんなぁ」などと言われ、根掘り葉掘り聞きたいのだが難しい。
ならば、足で稼ぐしかない。
 役所では、まず「行政情報センター」とか「市制資料室」に出向く。
ここなら、追い出されることもない。
この情報公開の扱いはさまざまだ。
例えば熊本県庁は別館の高い吹き抜け空間に、まさに図書館のように書棚が並べられ、扉も壁もなく、自由に人々が行政資料を閲覧していた。
歴史的建造物である京都市役所では、その建物ではなく、渡り廊下でつながれた別館に「情報公開コーナー」があった。
ここは京都の観光振興に関する資料が強い。
 これらの「情報公開センター」で下調べをしてから、担当部署に電話をする。
情報公開コーナーの担当者が「いい人」ならば、部署と担当者を教えてくれ、なかには電話で取り次いでくれる。
これで直接、担当部署に行くことができる。
情報公開コーナーの人の紹介があるのと、ないのとでは、全く扱いが違う。
これは役所に限らず、会社でも同じだろう。
 ところで、我が杉並区では「総務課情報公開係」が区役所西棟2階にある。
小さな図書室の形態になっており、区独自の発行物だけでなく、国や都の資料もある。
統計書も揃っているのでビジネスマンがマーケティングの基礎データを集めるにも便利だろう。
ここでは、杉並区発行の行政資料、地図、書籍類も販売している。
 おすすめは、2002年(平成14年)に杉並区立郷土博物館が開催した「区制施行70周年記念特別展 杉並の地図をよむ−」の図録である。
明治、大正、昭和のそれぞれの時期に発行された地図を縮刷印刷してあり、地名の変遷だけでなく、戦争で消されてしまった記述や、空襲で被害を受けた場所など、さまざまなことがわかる。
読み始めると止まらない。1冊900円。区役所で買えるちょっとしたみやげ物にもなりそうだ。

しまづ・けんよう 1971年生まれ。現在、杉並区方南に住む業界誌編集記者。

鈴木盛夫
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